結局は資生堂に収まる

エッセイ

 これまで、一生使おうと思える洗顔石けんと、基礎化粧品に出会えないまま、色々な情報に踊らされてきた。信じたり、裏切ったり、浮気してきた。恐ろしくて計算したことはないが、私が化粧品に注ぎ込んだ金額は相当なものだと思う。高い化粧品は効くと信じていたこともあった。こんな肉まんみたいな顔の私がどれだけ努力しても、どれだけ足掻いても、肉まんは肉まんだし、頭が悪いのはそのままだし、肩こりが治るわけでもないし、女優でもない私の肌がきれいかどうかは、他人様にしてみれば超どうでもいいことだろう。それでも自分に合う化粧品を探してしまう。それが女というものだ。
私は極度の脂性肌で毛穴の開きが目立っている。そして赤ら顔だ。肌荒れもひどい。どれだけ保湿して下地を叩き込んでも、ファンデーションが皮脂で崩れてしまう。それが長年の悩みだった。
 2か月ほど前にドラッグストアで資生堂の売場をウロウロしていると、棚の一番下に「ホネケーキ」という謎のネーミングの緑色の石けんを見つけた。価格は550円程度だけれど、ちゃんと資生堂だ。そして、同じ棚に「ドルックス」という、レトロな容器に入っている化粧品を見つけた。それらも1000円以下でちゃんと資生堂。レトロな容器が並んでいる様にグっときて、私はホネケーキと、ドルックスの化粧水と、乳液と、収れん化粧水と、ナイトクリームを買って帰ってきた。並べてみると、やはりなんだか嬉しい。ちなみに「収れん化粧水」とは何か知らない方もいると思うので簡単に説明すると、化粧水や乳液で肌を整えた後に、仕上げとして収れん化粧水を使うと、化粧崩れの防止にもなるし、肌もさっぱりする。そういう便利なアイテムだ。特に夏がおススメだ。
買ってきたホネケーキとドルックスを見た私の母は、「ま~懐かしい!これまだ売ってたのね!安くて良いものよ。肌に合うと良いわね。」と言って微笑んだ。
早速ホネケーキで洗顔だ。エメラルドのような透き通った緑色の石けんで、香りは「おばあちゃん」という印象。私が生まれる前に祖母が亡くなっているので、何を根拠にこの香りをおばあちゃんとしているかは謎だけれど、懐かしい香りであるのは間違いない。泡立てネットを使わなくても、ものすごくキメの細かい粘り気を含んだモコモコの泡がじゃんじゃんできる。こんなにキメの細かい泡は初めてだ。洗いあがりは潤いを残しつつもサラサラしている。ホネケーキを1週間ほど使ってみて、この石けんは資生堂が存在する限り一生使おう、心からそう思えた。550円でこのクオリティはすごい。
次にドルックスの化粧水をコットンに含ませる。これもまた「おばあちゃん」の良い香り。香料が強いので大丈夫かな?と思ったけれど、肌が荒れることもなく快適。次は乳液だ。おばあちゃん臭はしないけど、どこかで嗅いだ香りで、それは今でも思い出せない。軽めの乳液なのでこれもまた肌に負担がなく安心して使える。次はナイトクリーム。ナイトクリームもおばあちゃん臭はない。ただ、ナイトクリームはかなりしっとりとしていて私には重いなぁと感じた。そこで使うのが収れん化粧水だ。収れん化粧水はおばあちゃん臭が強い。それでもコットンに含ませて、空気を入れるように叩き込んでいくと、肌がひんやりとする瞬間がくる。ひんやりとした使い心地だから毛穴がキュっと引き締めて、キメ細かい肌に整えてくれる。1週間ほど使い続けてみると、毛穴が目立たないし、赤ら顔が改善されて本来の自分の肌色を久々に見た。血色が悪いのは見ないふり。
 ホネケーキとドルックスを使い始めて2か月ほどで、シミは消えないけれど、肌の調子はかつてないほど絶好調。化粧のノリも良いし、使い続けてみると開いた毛穴がどんどん引き締まってきた。肌もつるんと
 調べてみるとこのドルックスという化粧品は、1951年から資生堂から販売され、その成分等は今も昔もほぼ変わっていなくて、さすが資生堂さんですね!と、ブレのない仕事ぶりに感心と感謝するばかりだ。
 やっと、私に合った基礎化粧品と出会えて良かった。長年、洗顔石けん・基礎化粧品の難民だったが、もうこれでいい。絶対に浮気しない。これだけ品質もコスパも良くて、肌に合っているのだから、使わないわけがない。私の中では資生堂は高いという印象が強かったけれど、偏見と誤解をしていたことを謝りたい。
そこで母が「誰に?」
私「資生堂に。」
母「資生堂の誰に?」
私「誰だろうね…」
頭の悪い親子は生産性がなく、くだらない会話をしたものだ。
毛穴の開きと皮脂で悩んでいる人には、試してみてほしいと思う。(文・ねぎ)

※使用している写真は、Amazonから引用しています。

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