NHKと聞いて、良い印象を持つ人と、印象が悪く思う人がいる。自分で買ったテレビでNHKを観るために受信料を払えというのは、いささか乱暴なやり方なのではないかと問題視されながら現在に至る。
私もかねてから、NHKの受信料の件では苦々しく感じる節があった。北海道から東京へ移り住み、新聞の勧誘と、布団の押し売りと、テレビがあるならNHKの受信料が発生しますと言いに来る人の話を、まともに聞いていたらバカみたいなことにお金を使うことになるので、玄関先で淡々と「うるさい黙れ帰れ」としか言わないようにしていた。しつこく受信料を払わなければならない理由を、うんざりするほど聞かされても、私は頑なに「うるさい黙れ帰れ」と淡々と連呼していると、根負けして帰る業者がいたものだ。
とは言っても、少し強めの地震がくると、家族は居間に集まり「母さん、NHKだ!NHKかけろ!」と父が仕切る。多分、それはどこの家庭にもあった光景だと思う。情報の正確さはNHKを信じる。でも受信料は払わない。この矛盾を見て見ないふりをしていた時期もあった。
しかし、NHKが強気なのは、良い番組作りが民放との差に自信があるからだろう。実際、NHKで放送されている番組は、民放では越えられない何かがある。バカバカしいお笑い芸人の笑いどころに私は無頓着で、面白いと思ったことはあまりない。NHKで良い番組を観てしまうと、「やっぱり民放とはやることや着眼点が違うね」と、納得させられることが多い。
私が思うNHK最大の強みは、大相撲だと思う。私は相撲が大好きでたまらない。あれほど自分の一喜一憂を左右するものが他にあるだろうか?普段、ぬるま湯の中にいる自分を熱くするものが、相撲以外にあるだろうか?可愛らしい力士、孤高の力士、ブサイクな力士色々いるけれど、みんな最高だ。私の力士を見る目と、男子中学生が雑誌のグラビアアイドルを見る目に大差はないと思う。太った男が裸で尻を大胆に丸出しして揉み合う姿が実に男らしい。デブ専のゲイがいたら、こういう相撲の世界に入ってくるのかと冗談めいて言っていたが、実際にデブ専でゲイの行司が、力士にセクハラしてクビになっていた。その気持ちがわからんでもないので、これ以上は大人の話として多くは語らないでいよう。
NHK教育もすごく面白い。小学生の頃、風邪をひいて休んだ日は、朝からポカリスエットを飲んで教育テレビを観ることが贅沢に思っていた。『できるかな』『たんけんぼくのまち』『いってみようやってみよう』等、高熱にうなされながらも楽しく観ていた。『たんけんぼくのまち』のチョーさんのわざとらしい動きが、中国映画に出てくるサモ・ハン・キンポーのようで、一人寂しく爆笑していた。そういうセンスの良さは、さすがNHKならではと納得できる。大人になってからもNHK教育を観て、『ピタゴラスイッチ』や『デザイン あ』にグっとくる。そういう背景があると、受信料は決して高くはないと言える。私は8Kテレビで相撲を観るのを心待ちにしている。
(文 ねぎ)


