北広島

エッセイ

 私は生まれも育ちも北広島で、高校を卒業してから十数年東京に住んでいたが、北広島に戻ってきた。

 北広島市民のあるある話、道外の人の「北広島?北海道なの?広島県じゃなくて?」という疑問に困ることだ。小学生の頃に、広島県にある姉妹校から来た少年がいた。きっと、どうして広島県と北海道の北広島が姉妹校になったとか、北広島という地名の由来とか、少年は語っていたのかもしれないけれど、私は興味がないので大して聞きもせず、ぼんやりしていた。だから私は未だに道外に住む人から、どうして北海道なのに広島なのかという説明ができないでいる。

 北広島の良いところは、快速電車が停まるのと、新千歳空港と札幌の間にあるから動きやすい。それ以外に褒めようがない街だと思っていた。札幌市に住んでいる人は、北広島というと、ものすごく遠くから来ていると捉えたりする。札幌駅に着く時間は、札幌市民より早いということもある。札幌市民が思うより近い、一応それも北広島の良いところとして説明したものだ。

 もうそれ以外に褒めるところはない。私は子どもの頃から北広島市というのは、札幌市で家を建てられない貧乏人が暮らす街なのだと思い込んでいた。実際、何も無かった空き地にどんどん家が建って、札幌からの転校生が結構いたものだ。

 そんな何もない北広島に、日ハムの新球場ができるとは誰も想像していなかっただろう。野球は札幌ドームで観るものだとみんな思っていたはずだ。よく知らないけれど、札幌市は日ハムに対して暴利な使用料を請求し、それに耐えかねた日ハムに対し、北広島市の上野市長がすぐさま動いて手をあげ、現在のボールパークが出来上がった。上野市長がまだ若い頃に、母が勤めていた蕎麦屋で、毎日五目そばを食べていたらしい。その程度の知識しかない。

 ボールパークの完成図ポスターを見ても、こんな近未来的なものが北広島にできるわけがないとリアリティがなかった。父が散歩がてらにボールパークの建設が行われている現場を写真で撮っていた。それを見ると確かに建設が始まって、どんどん巨大ロボのように大きくなっている。完成して実際に行って見ても、「これは北広島ではない…」と、どうしても思ってしまう。テレビで試合を観てもそれは札幌のどこかでやっているのだろうと錯覚してしまう。そして、この北広島に無印良品ができたことにも衝撃を受けた。無印良品は、札幌市にあるものだという意識があり、実際に行ってみても、やはり「これは北広島ではない…」と思ってしまう。駅前もどうやら何かの建設が行われている。何かしらの商業施設ができるらしいけれど、きっとそれが完成して実際に行って見ても、「これは北広島ではない…」と思うだろう。

  北広島の土地が高くなっているとテレビで観てから、音信不通になっていた2人の男性から、近いうちにお酒でも飲みに行こうと誘われた。お金のニオイでプンプンしているのがよくわかった。よくこんな私を覚えていたものだなと感心もしたけれど、あまりに安直な発想が子どものようで可愛らしく思ったりもした。

(文 ねぎ)

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