ああ、外と内とのしきりは布一枚。クマが来たらどうしよう。クマに食い殺される。テントの外は真っ暗闇だ。暗いだけでも幽霊とか出そうで怖いのにクマと出くわしたりしたら最悪だ。トイレにいったら水洗ではなくいわゆるボッタン。おまけに入口のドアの窓部分にヒトの顔ぐらいの大きさのすずめガがはりついていた。気持ち悪いのを通り越して恐かった。近くにコンビニもない。お弁当を売っているところがない。事前にわかっていたからかんぱんを持っていった。カンパンをカジリお酒で胃に流し込んだ。クマと幽霊が怖くて眠れない。寝袋に入ったままで何度も寝返りをうった。袋入りの人間がクマの到着を待っているみたいだ。
雨が降ってきた。
大雨、本降りだ。
天気予報どおりだ。しかし、こんなに強い降りかたとはいっていなかった。テントの上にタープとかいうやつを張るんだとか聞いていたけれど面倒くさいからテントのみにした。それがいけなかったらしい。雨漏りが小規模ながら始まった。
ああ、想えば「おれのソロキャンプ」だかなんだかキャッチコピーになんとなく魅力を感じ「孤高のアウトドア」を気取って軽装備で手抜きのキャンプをしたのがいけなかった。
クマに対する恐怖、幽霊に対する恐怖、雨、雨漏り……。
ああ、自然とはなんて恐ろしいものなのだろう。こんなことをしていないで、家という
箱のなかであったかい湯豆腐をフーフーしながら食べていたほうがよっぽどましだ。
大きめに切った木綿豆腐、昆布だしの醤油、穴のあいたちいさなお玉で豆腐を鍋からすくう、小鉢で刻んだねぎと豆腐をいただきまーす。はしは先が四角い割り箸。先が細くなっていてそれも塗り箸だと豆腐が掴みづらい。
豆腐の角が大好きだ。
木綿豆腐の面目躍如である。あのコシの強さはなんとも言えない。
子供の頃「豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ!」と母に言われたことが何度もあった。以下引用「罵倒表現を冗談めかして滑稽に述べる言い方。 落語に由来する。 冗談を冗談と受け止められないようなつまらない人間を揶揄する(明白な冗談であるが真に受けてしまえという意味を込めた)言い回し。by Google)」
家のなか。そこにはクマもでない。雨が降ってもヘーキ。幽霊もいない(と思う)
ああ、やっぱりインドアがいい。
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(文・ポッキー)
※使用している写真は、Amazonより引用しています。


