以前、私が『宅麺』というサイトで、全国各地のラーメンのお取り寄せのことを記事に書いた。お取り寄せしているラーメンのほとんどが二郎系やインスパイア系だ。北海道にも二郎系のラーメン屋はあるし、わざわざお取り寄せしなくてもいいのに、どうにもためらってしまうのが、二郎系によくある独自ルールや独自マナーだ。店員も、ジロリアンと呼ばれる二郎系の熱狂的な常連客が怖い。
と、以前から思っていたところで、有名店「夢を語れ」の店主が客をクソ素人と言って大炎上しているのをテレビのニュースで見た。新規の客はありがたい存在だと普通は思うはずが、客を選んでいるようだ。料亭でもないのに一見さんお断りとでも言いたいのだろうか。独自ルールや独自マナーをまとめるとこういうことのようだ。
・行列に並んでいる間は私語をするな
・並んでいる間は携帯電話を使うな
・食券を買うタイミングに注意を払い、食券は店員が確認できるように見せろ
・麺の硬さや量はいちいち対応しない。店員に手間をかけるな
・席に座っても携帯電話は使うな
・食券の掲示時にトッピングをオーダーするな
・トッピングを聞かれたら0.5秒以内に即答しろ
・一緒に来た家族や友人でも席でいっさい会話するな
・ラーメンがくるまで店員の働きぶりを見て感謝しろ
・野菜を半分食べたら天地返ししろ。その技術を学べ
・他の客の食べるペースを観察して、自分が遅い場合はスピードアップしろ
・最初に一口食べて美味しい場合は「今日も美味しいです」と言うのが礼儀
・ティッシュは持参しろ。店のティッシュはテーブルを拭くために使え
・他の客に迷惑だから大盛りでも5分で食べ切れ。女も同様、若しくは来るな
・店員は神様だ。店内ではどんな行為だろうと必ず従え

こんな七面倒臭い思いをしてまでラーメンを食べたいとは思えない。客を神様だとは言わないが、店員が神様だと言い張るのは人としてどうなのか?と疑問に感じる。腹を空かせたジロリアンにしてみれば、ラーメンを提供してくれる店員が神様なのだろうが、そのスタンスに問題があるから、客をクソ素人なんて言ってしまうのだ。
「二郎 ルール」で検索すると、“ラーメン二郎は怖くない!初心者でも安心!基本のコールとルールとマナー”等と、独自ルールを押し付ける前提で、食べ方や注文の仕方の説明がされている。その店舗によっては独自ルールにも違いがあり、きめ細やかに従わなければならないのだ。
友人に熱心なジロリアンがいる。テーブルに並ぶ調味料の位置で、どこの店舗か分かるらしい。そうなってしまうと、ちょっとしたカルト集団と思われても仕方ないだろう。

また一つ理解に苦しむというか客をバカにしているのかと思う『一蘭』の豚骨ラーメンだ。直接店舗で食べたわけではなく、カップ麺として売られているものだ。カップ麺なのに490円と強めな姿勢と高めのお値段。気になるけど高い、カップ麺にこんなにお金使いたくない、でも気になる、という思いを何度か繰り返して、買って食べてみた。
まず、具がない。スープが粉っぽいのと臭い。カップヌードルより量が少ない。原価もカップヌードル以下だろう。これに490円を払うのはあんまりではないかとガッカリした。これをありがたく食べる人もいるのだろうけれど、それはもしかしたら細麺のとんこつラーメンに慣れている九州の人かもしれない。
他にもっと考えるべきことが沢山あるのに、ラーメン一つで人の心が左右されるとは、何とも日本は平和ボケした国だと痛感させられる。(文・ねぎ)