ねこ

エッセイ

 3年前まで飼っていた猫「ネギハル」は、神々しいまでの美しさに、みんなネギハルを見てはウットリしていた。親バカは百も承知だが、こんなにイケメンな猫は私は初めて見た。目ヂカラの男前っぷりに惚れていた。

 ネギハルは私が東京に住んでいた時に、縁があって飼うことになった。生まれたばかりの小さなネギハルは「にゃー」とは鳴かず「みー」と鳴いていた。その声もまた可愛らしい。とっても小さかったから、私のバイクのヘルメットの中にすっぽりと収まり、それもまた可愛らしい。兎にも角にも猫というものは、何をしても始終可愛いものだ。ちなみにネギハルというちょっと変な名前をつけたのは私だ。最初は「よしはる」と名付ける予定だった。好きな漫画家、つげ義春が好きだったのが理由。しかし、みーみーと鳴く子猫にヨシハルは渋いだろうと思っていた所で、当時一緒に住んでいた人の口臭がネギ臭かったのがきっかけで「ネギハル」という謎な名前になっている。

ネギハルはどんどん大きくなってきた。猫なのにネギハルはササミを一切食べない。大好きなのは缶詰で、食べ盛りだもんなと思って惜しみなく缶詰を食べさせていた。気付けば7kgまで太った。そしてネギハルには、メインクーンの血が混ざっているようで、骨格そのものは普通の猫より大きいのだ。ポチャっとしてても全然可愛いし、ぶよぶよでモフモフなネギハルのお腹に顔を埋めては、ネギハルと出会えた縁をありがたく思っていた。

 私の友だちが私の家に遊びに来てはネギハルを愛でていた。ネギハルという癒やしがきっかけで、私の友だち5人が猫を飼い始めた。猫を飼うにあたって、猫のストレスになるかもしれないという亀を、河原に捨てた人もいた。 友だちのそれぞれの猫の写真を見せてもらった。みんな可愛い。もちろんみんな親バカだから、自分の猫が一番!と思うだろう。しかし、みんな「可愛いけどネギハルを超えない」「思ってたんと違う」「これじゃない感が強い」等と言ってガッカリしていた。ネギハルが19歳で死んでから1ヶ月位の時に、滅多に履かない靴を履こうとしたら、ころんとかりんとうのようなものが出てきた。嗅いでみると…ネギハルのうんこだった。うんこなんだからトイレに流すべきだが、最後に残していったうんこは、私にとっては愛しいもので、今でもジップロックに入れて保管してある。

(文・ねぎ)

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