ゲスの極み乙女。

エッセイ

何年か前に、ベッキーとゲスの極み乙女。の、川谷絵音(以下ゲスきのこ)の不倫がどうのこうので、相当叩かれていた。優等生キャラのベッキーに浮いた話はなかったが、まさかの不倫で「センテンススプリング」だとか「卒論」だとか謎のテンションの上がりよう、これはみんなビックリしたと思う。

一方、ゲスの極み乙女。というバンドを知らなかったし、ファニーな顔つきにきのこ頭の、ゲスきのこも知らなかった。テレビで初めてゲスの極み乙女。の音楽を聴き、ずいぶんと高い声が出るのね、すごく早口なのね、「私以外私じゃないの」とは上手いこと言ったね、くらいにしか思ってなかった。

しかし、テレビで不倫騒動のことが出てくる度に、ゲスの極み乙女。の音楽が流れるせいで、私の頭の中では♪私以外私じゃないの〜♪とグルグル回る。そうなるともう1曲丸々聴いてみようとYouTubeで聴いてみる。何が光っているかと言うと、ベースラインだ。音楽は色々聴いてきたが、ゲスの極み乙女。のベースの圧倒的なセンスに心底惚れた。それを友だちに話すと、音楽詳しい人は皆、このベーシストを高く評価しているそうだ。ベースを弾いている様子もとてもカッコいい。他の曲も聴いてみる。ピアノのセンスもすごく良い。天才というよりは秀才で、おそらく子どもの頃からゴリゴリの英才教育をしてきたと思う技術の高さにウットリする。このバンドにはこのピアノがいないことには始まらないだろう。ゲスきのこの作り出す音楽に忠実に基礎と装飾をつけている。

そんな具合に、ベースラインとピアノが聴きたいという理由で、ゲスの極み乙女。の音楽を聴いていた。いつしかゲスきのこの変な声に慣れ、歌詞も良い具合の皮肉が可愛らしく、音としても好きだと思うようになり、CDも全部ヤフオクで購入し、車で聴く、ここまで来たら私はもうゲスの極み乙女。のファンだよなと思わされる。そして、この歌詞を書いているゲスきのこは、女心をしっかり捉えている。顔はファニーだけど、この人は女にモテて女を絶やさず生きていくだろう。きっとベッキーもゲスきのこの甘くて上手な言葉にクラっときたのだろう。

もしかしたらベッキーの人生で最初の大恋愛だったかもしれない。今は真面目に生きているベッキーが、もしゲスきのこに言い寄られたら、二つ返事でゲスきのこに流されそうだと思う。

ベッキーが不倫をしなかったら、私は永遠にゲスの極み乙女。を知らずにいただろう。何がきっかけで、何を好きになるかわからない、それが人生を楽しくさせるんだから、不倫は悪いがベッキーとゲスきのこには感謝だ。

(文・ねぎ)

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