釣具

キャンプ

 小さな湖の近くで野宿するときのこと。

早めに目的地に着いてまだ明るいとき。湖を眺めてボーッとする。釣りでもしてみるかな。ふとそう思った。釣りにもいろいろある。ルアーフィッシング、フライフィッシング、ワームフィッシング、などなど。

ボーッとするのが好きだから忙しい釣りはダメ。ルアー、フライ、ワームの類は擬似餌を絶えず動かして魚を誘わなければならない。忙しい。疲れる。エサ釣りがいい。

エサのニオイに魚のほうから近寄ってくる。魚を誘う動作はいらない。釣り針、エサ、オモリ、浮き、釣り糸、のべ竿だけ。リールととかはいらない。持ち運びや操作が面倒くさい。シンプルイズザベスト。仕掛けにエサを付けて湖のなかにそっと垂らす。あとはウキをじっとみつめる。

水面の浮きをみつめていると周りの景色が消えていく。空が消え、山が消え、森の木立が消える。湖の水面(みなも)もなくなる。頭の中が静かになっていく。浮き以外なにもなくなる。ボーッとした状態。時間も無くなる。うーん、ZENの世界だな。

やがて浮きも消えた。

ん?ひいてる?かかった?

仕掛けを引き上げた。

エサが無くなってる。

エサをとられた?

新しいエサを付けて釣りを再開。

その後は音沙汰なし。全くなし。魚を釣るという目的を果たせないでいる。しかし、考えた。釣れない釣りも釣りのうち。なにもせずボーッとできる。釣れないほうが魚をリリースしたり料理したりする手間が省ける。漁業ではなくあくまでも釣りなのだ。釣れては困る。水面に浮く浮きに癒やされているような気がする。またボーッとする。眠たくなってきた。今眠ると夜眠れない。

なにか考えよう。考えた。湖の中はどんなふうだろう。水草がはえていて魚がいる。大きな魚はいるだろうか。この湖の主。大ナマズ。湖の底でじっとしていて動かない。時々目だけがギョロリと動く。獲物が近づくのを待っている。もう何十年もこうしている。話し相手とかいるのかな。彼も獲物が近づくまでボーッとしてるのかな。彼の楽しみは何だろう。毎日野宿気分かな。眠ったり夢をみたりするのだろうか。

日が傾くと水面を小魚が跳ね始めた。羽虫を狙っているらしい。

そろそろ釣りを終わろう。簡単な内容の仕掛けだから撤収も簡単。釣り竿もコンパクトになるものを選んだ。これから野宿。お酒、カンパン、水。明日も晴れるかな?(文・ポッキー)

【オルルド釣具】 コンパクト延べ竿「ノベルドA」

 ※使用している写真は、Amazonから引用しています。

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